検証甲子園


2010年07月19日 南港中央球場  

PL学園vs今宮工科

2010年夏の大会 第92回大阪大会 2回戦

勧野(PL学園)

PL4番勧野、先制本塁打の後の悲劇

苦痛に顔をゆがめる4番は悔しさもにじみ出ていた。

8回裏、その悲劇はおこってしまった。2死1,2塁でPL学園の5番・山﨑和人(3年)が放った打球は左中間を破る。2塁走者の中川貴裕(3年)は悠々と生還。続く1塁走者だった勧野甲輝(3年)も本塁へ突入する勢いだった。

しかし3塁を蹴った所で急にストップ。人工芝に引っ掛かり、右足首を激しく捻ってしまった。その場で倒れこみ、3塁に帰塁することもできずにタッチアウト。貴重な追加点に沸いたベンチは一転して慌ただしくなった。

残ったイニングが9回表だけだったため、河野有道監督はすぐに選手交代。試合はそのまま終わり、勧野自身もケンケンをしながら挨拶に加わった。ベンチ裏では深瀬猛コーチが「今日はすいません」と報道陣に断りをいれ、4番は病院に直行した。

「腰は痛めたことがあったけど、勧野が試合中にこんなケガをするのは初めて。捻挫ぐらいで済んでくれれば良いのですが」

と河野監督も非常事態に神妙な表情で答えた。幸い骨には異常はなかったそうだが、20日にあらためて検査をすることになった。

この試合、先発の難波清秀(3年)が好投したものの、今宮工科の左腕・奥田開(3年)を打ちあぐねていた打線。それが6回、勧野がカーブをすくい上げてレフトスタンドへ一発を放った。「打ってくるから」と耳打ちしてくれた4番の一振りに「この1点があれば大丈夫」と勇気をもらった難波。その後も危なげなく、点を取られる感じがまったくしなかった。

4番は控え投手でもある。もう1人3年生右腕・多司将仁は故障上がりでどこまで投げられるかが分からない状況。それだけにこのケガは投手陣に大きな影響があるが、「僕が全試合投げるつもりです」とエース難波は4番勧野の分までフル回転する覚悟を決めた。

昨夏、ベンチ外の屈辱を味わい、奮起を誓っていた勧野にとってはあまりにも辛すぎる悲劇。しかし起こってしまったものはもう巻き戻せるものではない。主将の吉川大幾(3年)を中心に、近年のPLではもっともまとまりの良いチームになっている。4番がもしいなくなっても、全員で穴を埋めるしかない。

(文=松倉 雄太


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